LPIC-1 受験の記録

LPIC-1 Version 5.0 に合格したので勉強方法などを記録しておきます。

2019-07-20: 101 Version 5.0 合格
2019-09-29: 102 Version 5.0 合格、LPIC-1 認定

LPIC の概要

LPIC』は Linux Professional Institute (LPI) による Linux 技術者認定試験です。
今回は LPIC-1 という一番簡単なレベルを受験していますが、これの上位試験として LPIC-2 と LPIC-3 が存在します。

LPIC-1 認定を受けるためには『101試験』と『102試験』の両試験に合格する必要があり、片方の試験の合格から5年以内にもう片方の試験に合格する必要があります。
101試験に合格済みの場合、102試験に合格したタイミングが LPIC-1 の認定日となります。
受験料は 101試験 と 102試験 でそれぞれ 税抜15,000円 となっています。

なお LPIC の有効期限は認定から5年間となっており、5年以内に同レベルの試験の再認定を受けるか、更に上のレベルに合格することで Active ステータスを保つことができます。
期限を迎えると Inactive ステータスになり、上位試験の受験資格が無くなってしまいます。が、認定が失効するという意味ではないようです。

LinuC について

似たような認定試験に『LinuC』がありますが、これは LPI-Japan という別の認定団体が運営しています。

  • LPIC
    • Linux Professional Institute (LPI) が運営
    • 国際的な認定試験
  • LinuC
    • LPI-Japan が運営
    • 日本の認定試験
    • 2018年に新設

従来(2018年3月以前)は LPI-Japan が LPIC という認定試験を取り扱っていましたが、LPI (本部) が正式に日本支部を立ち上げたことにより認定団体が二つになってしまい、色々あった末に名前を LinuC に変更したようです。
試験が分裂したばかりのため、現時点では両試験の内容に差はあまり無いらしいのですが、世界的に認知度のある方を受験した方が無難かと思い LPIC を選択しました。

事前知識と受験動機

CentOSRHEL のサーバ構築や運用の業務を3年ほどやっています。
ミドルウェアの構築や設定変更、シェルスクリプトは触れる機会が多いものの、ブートの流れやサービス管理、デバイスマウント等については理解が曖昧だったため、これを機に改めて Linux を学ぼうと思い受験しました。

学習期間と使用教材

101試験、102試験ともに電子書籍の問題集を4週間、Ping-t を4週間といったペースで勉強を進めました。両試験の学習期間は合計して4ヶ月ほどです。
転職活動も並行していて(言い訳)娯楽の時間などもあまり削りたくなかったため、均すと一日あたりの学習時間は30分~1時間程度でした。もっと追い込めば2ヶ月くらいでいけたかもしれません。

電子書籍

  • 翔泳社Linux教科書 LPICレベル1 スピードマスター問題集 Version4.0対応』
    • 4週間かけて1週 (2~3日で1章進む程度)
    • 模擬試験1回目はスピードマスターを1週したあとに実施
    • 模擬試験2回目は Ping-t 学習後の受験直前に実施
    • 古い試験バージョンに対応したものだったが支障なし
    • 2月の翔泳社祭で半額だったため 1,350円 で Kindle 版を入手
    • 分厚くて重い技術書と電子書籍の相性は良い

Web サイト

  • Ping-t
    • 3週間かけて全問題をとりあえず銀にする
    • バウチャー購入から試験日までの1週間は銀から金にする最終確認
    • 最終的に 銅0%, 銀70%, 金30% くらい
    • コマ問は気が向いたときにジャンル指定せず適当に50問程度実施
    • 102 試験のプレミアムコンテンツのため有料サービスを利用(2ヶ月間 3,200円)
  • LinuC イージス
    • あずき本を持っていないため、このサイトを参考書代わりに利用

余談ですが意外と馬鹿にならないのが勉強場所のカフェ代で、この数ヶ月で5,000円近くは使った気がします。

試験の申し込み

以下のような流れで受験の申し込みを進めました。

  1. LPI 日本支部のサイトでアカウントを作成 (LPI-Japan ではないので注意)
  2. ピアソン VUE のアカウントを作成
  3. バウチャー購入申請を Excel で記入してフォームに提出
  4. 請求書の受領 (数日かかる)
  5. 口座振り込みによる支払い
  6. 領収書とバウチャーの受領 (数日かかる)
  7. バウチャーコードを利用してピアソン VUE にてテストセンター予約

バウチャー購入申請後と支払い後はそれぞれ2~3日ほど待たされるため、受験日を決めている場合には早めにバウチャーを購入しておくことをおすすめします。なおバウチャーコードの有効期限は購入から半年間です。
テストセンターは場所にもよるかと思いますが、2〜3日先の日付であれば席が空いている可能性が高いです。当日予約できると噂に聞いていましたが全滅でした。

出題傾向

スピードマスターや Ping-t と同様の出題形式です。選択が8割、記述が2割といった具合でした。

合格後の認定証の発行

テストセンターでの試験終了時にスコアシートを渡されます。スコア情報などは LPI アカウントのページにすぐに反映されているようでした。
認定証が郵送で送られてくるのは6~8週間後とのことでしたが、認定証の PDF データは合格日の夜にはダウンロードができるようになっていました。

感想

ITSS レベル1の位置づけの認定試験ですが、実務経験があってもそこそこ難しく感じました。
試験が2回に分かれてる時点で結構面倒な気持ちになりますし、コマンドのオプションまで丸暗記する必要があるのかも正直少し疑問はあります…。
dpkg コマンドなんかは大文字オプションと小文字オプションで意味が全然違ったりするので大変でした。( -i, -I, -r, -R, -l, -L, -s, -S, -c, -C など)

実務への良い影響としては、Bash のコマンドやシェルスクリプトによるテキスト処理が圧倒的に早くなったことが挙げられます。
仮想環境のパラメータを JSONXML で取得する機会が度々あるので、よく使う grepsed だけでなく cut, tr, paste, split コマンドあたりも自在に使えるようになると作業効率が上がったように思います。

LPIC情報処理技術者試験と違い範囲が限定的であり、暗記してしまえばほとんどの問題に対応できるので、ちゃんと勉強すれば必ず合格できる試験だと思います。
また、国家試験と比べると費用はかかりますが、目的意識を持って学習を進めることができるため、モチベーションの維持がしやすいように思います。過去に基本情報と応用情報を取得していますが、どちらも範囲が広すぎてモチベーションを保つのが難しかったような覚えがありますし、「その試験で何が身についたか」を具体的に説明できる自信は正直ありません。

他の合格者の方と比べると大分のんびりとした学習期間ではありますが、毎日少しずつ勉強する習慣は身についたはずなので、この調子で他の資格にもチャレンジしてみようと思います。