情報処理安全確保支援士試験 受験の記録

4月に受験した情報処理安全確保支援士試験に合格しました。

2019-06 平成31年度 春期試験 不合格
2023-06 令和5年度 春期試験 合格

情報処理安全確保支援士について

IPA情報処理推進機構)が実施する情報処理の国家試験および国家資格です。
難易度は4段階に分かれており、今回の試験は IT スキル標準のレベル4に位置します。

以前はペーパーテストだった試験も CBT 化が進んでおり、現時点で FE 以下は随時受験ができるようになっているようです。
AP と SC は春期(4月)と秋期(10月)の年2回、それ以外は年に一度の実施となります。

厳密には「情報処理安全確保支援士試験」は「情報処理技術者試験」から独立した別枠の試験となりますが、前身の情報セキュリティスペシャリスト試験から出題内容に大きな変化が無いため、同じ高度試験としてほぼ同列で扱われています。
高度試験の中では比較的易しい部類とされ、応用情報の次に目標とする人が多いようです。

登録制度について

試験に合格した上で、所定の登録手続きや講座の受講を行うことで情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)の資格保持者として国に登録されます。
名称独占資格のため、登録していない状態で情報処理安全確保支援士を名乗ったりロゴを使用すると罰則があります。
なお、資格と試験を区別するため、登録をしていない場合は履歴書には「○○試験 合格」と書くのが適切です。

登録・更新料や受講料が非常に高額(3年間で15万円ほど)であったり、業務独占や必置資格でないこともあり、会社での奨励金や補助が無い限り登録によるメリットはありません。
加えて重大インシデントや信用失墜行為が認められると資格者にはペナルティがあるため、リスクの方が勝っているとさえ感じます。
コンサルや SES など、企業として優秀な技術者を抱えていることのアピールだったり、求職時に優位に働くことが若干あるくらいの効力かと考えています。

事前知識と受験動機

会社の情報セキュリティ統制やシステム監査の進行役を1年ほど担当しているため、業務内容や求められる役割的には合致しています。

動機としては、今まで午後1と午後2(90分+120分)だったものが、次回の秋試験から午後(150分)に試験時間が短縮されるとの情報を見て、次回以降ラクをするために午前1の免除だけでも先に取っておこうと思った次第です。
「楽をするための苦労はいとわない」は技術者の美徳のひとつですからね。(?)

学習期間と使用教材

学習期間は2か月間ほどですが、集中していた期間としては1か月程度です。
午前1免除の権利だけ得るつもりで挑んだため、あまり勉強はしていません。

書籍

過去問

出題傾向と結果

過去問をしっかり解かなかったため、傾向把握や比較はできません。
IPA のサイトで実際の出題内容が公開されていますので、試験内容はそちらをご覧ください。

スコアは以下の通りでした。
それぞれ60点以上で通過、59点以下なら足切りされ、それ以降の採点はされません。

  • 2019年度 春期
    • 午前1: AP 合格による免除
    • 午前2: 60.00点
    • 午後1: 51点
    • 午後2: -
  • 2023年度 春期
    • 午前1: 81.60点
    • 午前2: 60.00点
    • 午後1: 77点
    • 午後2: 72点

自己採点通りで2回とも午前2がギリギリでした。
午後の記述問題についても全部埋めることに必死で手応えはなかったため、下駄を履かせてもらった可能性が濃厚です。

感想

IPA の国家試験はベンダ試験と違って総合力が試される試験です。拘束時間も9:30〜16:30と長く、体力や集中力も問われる試験だと思います。
正直、あと2~3回は受験する心づもりで臨んだため結果を見て驚きました。成長していないようでも意外と伸びているようで嬉しく思います。

ランサムウェア攻撃や人的ミスによる情報漏えいなど、セキュリティインシデントのニュースを見るたび「明日は我が身…!」と怯えている毎日ですが、情報セキュリティ担当としては費用や時間と相談しながらやれることを粛々とやっていくのみです。

ちなみに私は支援士として登録の予定はありませんので、単なる "試験合格者" もしくは "未登録セキスペ" として無免許で生きていくつもりです。先に書いた通り維持費が高すぎますし、メリットが感じられません。
個人的な肌感覚としても組織統制から情報システムの細部まで俯瞰して見られる人は貴重に感じていますので、人材増加や地位向上につながるよう、支援士の制度が改善されることを願います。